2005年12月21日水曜日

フォーカス・オン・グローバルサウスによる、WTO香港会議に向けたビデオ

 先日のATTAC京都月例会では、フォーカス・オン・グローバルサウスが二年前のカンクンでの閣僚会議のためにつくったビデオを見て頂きました。
 現在、フォーカス・オン・グローバルサウスのウェブサイトから、香港に向けての新しい情報が盛り込まれたビデオがダウンロードできるようになっているようです(英語版です)。

  Focus Video | WTO: why is it REALLY BAD for you.
 (Zip圧縮ファイルで230メガほどです)

 ビデオCD用のものらしく、日本ではなじみのない拡張子のビデオになってしまっているのですが、解凍後に拡張子を .mpegに変えてやると、メディアプレイヤーかQuickTimeで見られるんじゃないかと思います。
 (少なくともMac OSXではそれで上手くいきました。Windowsでの見方についてはどなたか試してみて、ご報告頂ければ幸いです。)

2005年12月18日日曜日

ATTAC京都・トービン税部会 1月学習会 〜諸富徹さんを囲んで

 トービン税部会では、国際的なお金の取引の仕組みについて、基礎の基礎から学ぶことで、私たちの力で経済のルールを決めていく方法について探っていきたいと思います。
 
 1月の学習会では、京都大学でトービン税などを研究されている、諸富徹さんをお迎えします。トービン税の仕組みやトービン税研究の現状などのほかに、諸富さん自身が環境税の問題に取り組んでこられた経験を振りかえって、トービン税運動の進め方についても提言していただくことで、今後の方針を考えていく材料にしたいと思います。

○と き:1月24日(火)19:00〜
○ところ:ハートピア京都第3会議室
(地下鉄丸太町駅すぐ、烏丸丸太町下る東側、http://www.ksj.or.jp/hartpia/)
※会場代として300円程度のカンパをお願いします。

○講 師:諸富徹さん(京都大学大学院経済学研究科助教授)
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~chousa/profile/morotomi.html
 論文に「金融のグローバル化とトービン税」(『現代思想』2002年12月号)があります。
http://www.sozeishiryokan.or.jp/award/012/005.html

※学習会終了後、諸富さんを囲んでの食事会も予定しています(食事代は実費となります)。

○主催:ATTAC京都・通貨取引税(トービン税)部会
○連絡先:kattac@talktank.net


 ※申し込みは必要ありません
募集期限

2005年12月2日金曜日

ATTAC京都12月例会  「WTO・FTAが私たちの食生活や環境にどうかかわっているのか」

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         ATTAC京都12月例会 
 WTO・FTAが私たちの食生活や環境にどうかかわっているのか
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 12月の中旬に行われるWTO香港閣僚会議を控えて、WTO・FTA問題をテーマにとりあげます。今回はWTO(世界貿易機関)やFTA(自由貿易協定)が私たちの食生活や仕事、環境にどうかかわっているのかを入門的に学習。
 その上でゲストや会員が、生活や身の回りの環境に”自由貿易”がもたらす具体的な影響と、これに対する生活の場からの対抗手段を紹介し、参加者全員でディスカッションしていきます。

◇日時:2005年12月03日(土)午後6時30分〜
◇場所:こどもみらい館・第2研修室
    烏丸丸太町を東へ。二筋目を南へ、一筋越えて西側の建物です。
   (京都市営地下鉄烏丸線「丸太町」駅より徒歩3分
          /市バス「烏丸丸太町」下車徒歩3分
  □地図 http://www.kodomomirai.or.jp/access.html    
 
◇参加費:300円 (減免あり)
*会員でない方も参加いただけます。申込不要です。



◇お問い合わせ先:
ATTAC京都
 E-mail:kyoto@attac.jp

2005年11月8日火曜日

WTO香港会議「全面合意困難」

12月の香港閣僚会議を前にして、合意に達するには時間的にギリギリといわれていたロンドンでの「非公式閣僚会議」(米、EU、ブラジル、インド、日本)は、結局農業分野などで合意に達することができず、物別れに終わった。

12月の香港で広範な合意に達することは難しくなった、との見解がインドなどから出されている。もっとも、これはラウンドの縮小を意味するものではないとも述べており、閣僚会議決裂後、数カ月間身動きできなくなった2年前(カンクン)の二の舞を避けるため、どうやってドーハ・ラウンドを延命させるかの方策が会議で話し合われたようだ。

目を引くのは、これまで農業補助金でEUの譲歩を要求する一方だった米USTRのポートマン代表が会議前後に態度を一変させ、「WTO香港閣僚会議成功のためには非農産物市場開放やサービス貿易など、農業自由化交渉以外の分野の進展が重要」とするEUの立場を支持したことだ。

本日ジュネーブに場所を移して数十カ国に拡大した閣僚会合が行われる。要注目。(ひで)

【参考】
WTO香港会議、大型合意難しく(日経)
WTO閣僚会合、香港会議での全面的合意困難か=インド(ロイター)
WTO閣僚会合、物別れ 香港合意を事実上断念(共同)

2005年10月28日金曜日

ATTAC京都11月例会「WTOの何が問題か?」

日時:2005年11月05日(土)午後6時30分〜
場所:こどもみらい館・第2研修室
  烏丸丸太町を東へ。(地図)。
  (京都市営地下鉄烏丸線「丸太町」駅より徒歩3分
          /市バス「烏丸丸太町」下車徒歩3分)

参加費:300円 (会員でない方も参加いただけます。申込不要です)

内容:
 12月に香港でWTO(世界貿易機関)の第6回閣僚会議が開かれます。2001年から続いている交渉は、「ドーハ・ラウンド」と呼ばれ、香港の会議が山場となります。この「自由貿易」の推進を前提としたWTO交渉の枠組みについては、第三世界の農民などから強い非難の声もあがっています。また農業と国内産業、食の安全性、労働の権利や環境といったさまざまな面から、先進国に住む我々にも大きな影響を与える問題を含んでいます。

 しかし、残念ながら交渉の推移やその影響について十分な報道がなされているとは言えない状況にあります。そこで、11月の例会では、WTOについて批判的に解説したビデオ・プログラムを上映するとともに、日本国内や第三世界の農業などへの影響について、各方面から出されている資料を元に話し合いたいと思います。

 WTOについて馴染みのない方にもわかるように、Attac京都のメンバーから基礎的な解説と問題提起を行います。基本的には討論を中心に進める形にしたいと思います。香港閣僚会議まで時間もありませんが、みなさまの疑問を積み上げて、形にして行ければと思っていますので、どなたでもお気軽に参加してください。

《プログラム》
 ・はじめに
 ・ビデオ上映『WTO あなたにとって、なぜそれが悪いのか』
 ・WTO/FTAとは?
 ・交渉の現状と日本の農業
 ・第三世界への影響

お問い合わせ:ATTAC京都
 e-mail:kyoto@attac.jp
 TEL:080-5351-1409(末岡)

2005年10月14日金曜日

本格化するグローバル市民社会の香港会議対抗行動

マスコミでも報道されているように、WTO交渉は今週10~12日にチューリヒで行われた少数国による「非公式閣僚会合」において、最大の焦点である農業分野で大きな動きがあった。米国がEUや途上国との最大の対立点となっていた国内農業補助金の「削減」を柱とする新提案を行ったのである。それに対してEUやG10(日本、スイスなど食糧輸入国グループ)も「対抗提案」を行い、先にG20(インド、ブラジルなど食糧輸出国を中心とする途上国グループ)が行った提案と合わせて、主要勢力の具体的主張が出揃うことになった。

今回の3日間の「非公式会合」では、市場開放をめぐる各勢力の溝は埋まらなかったものの、週明け17日から会合を再開することでは合意した。EUやG20は、米提案を「不十分」と批判しながらも、基本的には前向きの動きと評価している。19~20日の一般理事会にかけて何らかの「妥結」への動きが表面化する可能性が出てきている(実はEUやブラジル、インドなどは9月から米国との「非公式会合」を重ねており、今回の動き自体がある程度まで出来レースである可能性もある)。

WTOの一般理事会は、形式上は最高意思決定機関である2年に一度の閣僚会議の下に位置するが、シアトル、カンクンにおける閣僚会議の決裂を経て、昨年7月のいわゆる「枠組み合意」以来、一般理事会が(なし崩し的に)閣僚会議に取って代わるほどの重要な意義を持つようになった。ここで大枠の合意ができれば、閣僚会議での妥結の可能性は格段に高まる。逆に、大きな対立点を残したまま閣僚会議に突入すれば、結果は予測がつかず、シアトル、カンクンの再現となる可能性が高い。そのため、WTOのラミー事務局長やUSTR(米通商代表部)のポートマン代表などは、香港までに議案の3分の2以上で合意に達することを目標としている。

現在の予定では、10月の一般理事会が終われば、香港閣僚会議直前の12月初めまで一般理事会は開かれない。したがって、今週から来週の一般理事会までの一連の会合が、香港の帰趨を大きく左右する重要な前哨戦となるのである。
こうした情勢認識のもと、現地で交渉を監視しているジュネーブ・ピープルズ・アライアンスなどスイスの市民社会、それにフォーカス・オン・ザ・グローバルサウスやATTACなどの国際NGOを中心とするグローバル市民勢力は、10月一般理事会への国際的抗議行動を早くから呼びかけてきた。同時に、その他の各国、各地域の取り組みもいよいよ本格化しつつある。以下では、そうしたグローバル市民社会の動きをいくつか紹介する。

◎10月一般理事会に対する国際抗議行動と香港への結集
来週19~20日のジュネーブ本部でのWTO一般理事会に対する抗議行動は、今週末15日から開始され、5,000人以上が参加すると見込まれている。これは事実上、香港WTO閣僚会議に対抗する最初の大規模な民衆行動となるだろう。その合言葉は、「香港の前にWTOの企業アジェンダをストップさせろ!」(STOP the WTO corporate agenda before Hong Kong !)である。
一方、12月の香港閣僚会議には、少なくとも8,000人以上が結集すると予測されている。これには、韓国から2,000~3,000人、フィリピン、インドネシア、タイからの数千人が含まれる。おそらく実際はそれを大きく上回り、万単位に達するものと見込まれる。
WTO交渉の現地における行動は、以前にも増して重要になっている。シアトルでもカンクンでも、会議場を取り囲んだ数万の民衆と途上国政府代表団の事実上の「同盟」が、閣僚会議を決裂に追い込む原動力となった。しかも今回は過去2回の決裂を経てドーハ・ラウンドそのものの成否がかかっているだけに、カンクン当時よりも合意への圧力が格段に強い。どの国も基本的に決裂を視野に入れたアプローチを取っていない。それだけに市民社会の圧力がカギとなる可能性が高いのである。
「われわれの目的はただ1つ、合意を阻止することだ。途上国政府に対して、第三世界とその他の地域の民衆の利益を代表する市民社会の多数の人々の存在を示し、われわれが合意成立を決して許さないことを示すのだ。」「われわれは、『損な取引ならしない方がましだ』(No deal is better than a bad deal)のスローガンのもとに団結するだろう。」(ウォールデン・ベロー)

◎「農業をWTOから除外せよ」-インドで反WTOの大農民集会
マハトマ・ガンジーの生誕記念日にあたる10月2日、ムンバイで全国から5万人を超える農民が参加してWTOと政府の農業政策に反対する大集会が開かれた。主催はインド各州の農民運動組織を束ねるインド農民運動調整委員会(the India Coordination Committee of Farmers Movements)である。国内農業を破壊し、農民を破滅へと導く政府の政策に反対し、WTO交渉からの農業の除外、輸入農産物に対する関税の引き上げと輸入数量制限の再開を求めた。シン首相に宛てた声明は次のように述べている。「インドの農業は産業ではない。生計の主な源として人口の70%を支えているのだ。我々は政府に要求する。WTOから脱退せよ。農業をWTOから除外せよ。」

◎貿易の公正を求めるグローバル・マス・ロビー(Global Mass Lobby for Trade Justice)
欧州を中心に世界各国で、10~11月に議会に対して同時多発的な大衆ロビー活動(マス・ロビー)を展開する運動が進められている。WTO一般理事会や香港閣僚会議を前に、議員と交渉担当者に圧力をかけ、彼らを「教育する」ことが目的である。
イギリスではTrade Justice Movement、Co-operative Bankなどが中心となって運動を組織、「自由貿易ではなく貿易の公正(trade justice)を」などを掲げて11月2日、ウェストミンスターで集会とロビー活動を展開する。貧困を終わらせ、環境を守るために各国政府、とくに貧しい国々の政府が貿易政策を自ら決定する権利を保証すること、全世界の貧しいコミュニティに損害を与えている輸出ダンピングをやめること、大企業が民衆と環境を犠牲にして利潤をむさぼることをやめさせる法律を作ること、などを主張している。
11月21日には、ブリュッセルでのEU閣僚会議(21~22日)をターゲットに、欧州全土から参加者が結集する予定である。この会議はEU全体レベルとしてはWTO香港会議前の最後の会議となり、EUの最終的な交渉姿勢を確認する場となる。その他、オーストラリア、バングラデシュ、ドイツ、インドなど世界各国で連携した運動が計画されている。(ひで)

2005年10月8日土曜日

香港WTO閣僚会議に向けて

世界貿易機関(WTO:World Trade Organization)の第6回閣僚会議が今年12月に香港で開催されます。今回の会議は、WTO「ドーハ・ラウンド」の行方、ひいてはWTOに具現化されている先進国・多国籍企業主導のグローバルな貿易・投資自由化の流れが加速するか、それとも失速するかを大きく左右する重大な会議になります。

ATTAC京都では、香港閣僚会議に向けて対抗的世論を形成するための媒体の1つとして、新たにBlogを立ち上げました。今後、WTO/FTA、貿易・投資自由化、グローバリゼーション関連の情報や見解を随時アップしていく予定です。

今回は手始めとして、WTOの発足から「ドーハ・ラウンド」に至る経過を簡単に振り返り、香港閣僚会議の位置付けを確認しておきたいと思います。

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◎「新ラウンド」の登場と挫折−−「シアトルの反乱」
WTO(世界貿易機関)は、1994年4月、GATT(関税と貿易に関する一般協定)ウルグアイ・ラウンドに参加した124カ国の閣僚がモロッコのマラケシュに集まってその設立が決定され、翌1995年1月に76カ国、地域が参加して発足した。

WTOでは、シンガポールにおける第1回閣僚会議(1996年)以来、非民主的な協議・決定方式、事務局長人事などをめぐって先進国と途上国との軋轢が生じたが、交渉項目についても真っ向から対立した。途上国側が先進国の市場開放、後発途上国に対する特別差別化待遇(SDT:Special and Differentiated Treatment)など、ウルグアイ・ラウンド合意の未実施問題だけを協議するよう主張したのに対して、米・EUなど先進国側は投資、競争政策、政府調達の自由化といった新しい項目(いわゆる「シンガポール・イシュー」)を加え、包括的に交渉する新ラウンドの開始を主張したのである。

新ラウンドは当初2000年1月1日から開始されることが予定されたため「ミレニアム・ラウンド」と呼ばれ、1999年11月30日〜12月4日にシアトルで開かれた第3回閣僚会議で開始を宣言することになっていた。しかし、このシアトル閣僚会議は7万人にも及ぶ市民・労働者の抗議行動と途上国の抵抗=「シアトルの反乱」によって流会し、新ラウンドはいったん挫折した。

◎先進国の巻き返しと途上国の抵抗−−ドーハ閣僚会議
第4回閣僚会議はニューヨーク、ワシントンを襲ったテロ事件から間もない2001年11月、カタールのドーハで開かれた。シアトルの二の舞を避けるため、反対派が入国しにくい場所を選んだのである。米は「テロに屈しないため」という論理で強力に新ラウンド開始を主張した。それでも会議は途上国と先進国が鋭く対立し、インドの抵抗によって会期は1日延長された。ここで採択されたのが、いわゆる「ドーハ開発アジェンダ」(閣僚宣言、TRIPS協定宣言、実施決議)である。

途上国側は、先進国の農業補助金や国内支持の段階的削減、農産物・繊維製品の市場開放などで一定の譲歩を獲得したが、米・EUを中心とする先進国側は「新ラウンド」を閣僚宣言に盛り込むことに成功した。ドーハ閣僚宣言では、新ラウンドは2003年の第5回閣僚会議をもって開始すると規定された。インドなどの激しい抵抗により2年先送りされ、「第5回閣僚会議までに加盟国が明白な合意に達した場合」という前提条件が付けられた。

◎「シアトルの再現」となったカンクン閣僚会議
第5回閣僚会議は2003年9月にメキシコのカンクンで開かれた。会議は当初から農業と投資分野で先進国と途上国が対立した。カンクンには、ビア・カンペシーナと呼ばれる国際農民運動を中心に、全世界から2万人もの農民・市民が結集して抗議行動を行った。さらに、ブラジル、インド、中国、アルゼンチン、南アといった農業大国を中心とする途上国グループ(G20)が結束して先進国に対抗、アフリカの最貧4カ国(ベニン、ブルキナファソ、マリ、チャド)も「綿花の補助金撤廃」を求める声明を出すなど、途上国側が強く抵抗し、会議は決裂に追い込まれた。

シアトル以降さらに力を増した国際的な民衆運動と途上国政府の抵抗によって、「新ラウンド」は再び挫折したのである。

◎途上国の分断と「枠組み合意」
シアトル、カンクンの閣僚会議における2度の失敗を経て、米、EUを中心とする先進国はジュネーブの一般理事会の場で巻き返しはかり、「大きな勝利」をおさめた。2004年7月の一般理事会で「枠組み合意」が成立した。先進国側はカンクン会議決裂の原動力となったG20の盟主、ブラジルとインドを切り崩すことに成功したのである。

いわゆるFIPS(Five Interested Parties)グループが形成され(米、EU、オーストラリア、ブラジル、インド)、農業分野の合意文書が作成された。これに非農産物市場アクセス(NAMA)、貿易円滑化(「シンガポール・イシュー」の1つ)、サービス貿易を加えた4分野で交渉の「枠組み」が取り決められた。また、当初の新ラウンド交渉期限である2005年1月1日を超えて交渉を継続すること、次回閣僚会議を2005年12月に香港で開催することが確認された。途上国側が求めてきた特別待遇や食糧主権、「シンガポール・イシュー」の除外などは認められなかった。この合意は全体として先進国(とくに米とEU)に有利な内容となっている。

閣僚会議の下位に置かれた一般理事会で、たった40人程度の貿易担当大臣の出席により、こうした重大な決定がなされたのである。米・EUは新ラウンドを延命させることに成功した。

◎雌雄を決するか−−香港閣僚会議
こうして、WTOの新ラウンド(「ドーハ・ラウンド」)は、シアトル、カンクンの閣僚会議の決裂によって大きく後退しながらも、昨年7月の「枠組み合意」によってかろうじて息を吹き返した。妥結の方向に進めば、世界の民衆はさらに深く広い自由化の波にさらされるだろう。逆に、香港で閣僚会議が再び決裂すれば、「ドーハ・ラウンド」交渉はもちろん、WTOを中心とした「多角的貿易・投資自由化」の枠組みそのものが大きく揺らぐことになる。今後3カ月間の市民社会の取り組みがきわめて重要である。

今年7月末に開かれた一般理事会では、「枠組み」からさらに踏み込んで交渉方式(モダリティ)の第一次原案を作成するはずであったが、これは失敗に終わった。一部には香港会議への悲観論も出ている。しかし、先の一般理事会の経過のなかに、すでに妥結につながる危険な兆候をみることもできるのである。

−−−次回は、ジュネーブにおける交渉の現状と香港閣僚会議の焦点について、さらに詳しく見ていくことにします。(ひで)